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CORPORATE HOUSING / 04

社宅導入時の経理処理と消費税の取り扱い

住宅家賃と仲介手数料の消費税区分。貸主請求と本人徴収を分けて経理へ引き渡す。

解説 / 借上社宅

社宅制度を導入する際、税務上の賃貸料相当額(記事1)や社会保険上の扱い(記事3)と並んで実務担当者が押さえておくべきなのが、経理処理と消費税の取り扱いである。住宅の貸付けは消費税の非課税取引とされているため、通常の課税仕入れとは異なる処理が必要になる。

住宅の貸付けは消費税非課税

消費税法上、住宅の貸付けは非課税取引とされている(消費税法別表第二第13号)。社宅・寮についてもこの非課税規定の対象に含まれる(国税庁タックスアンサー No.6226)。したがって、会社が貸主に支払う家賃、従業員から徴収する賃貸料相当額のいずれも消費税は非課税となる。

会社が住宅を借り上げて従業員に転貸する場合も同様である。国税庁の質疑応答事例では、「事業者が従業員の社宅に使用することが明らかにされている建物を当該事業者に貸し付ける場合には、貸主と当該事業者との間の賃貸料及び当該事業者と従業員との間の賃貸料(使用料)ともに非課税となる」との考え方が示されている(消費税法基本通達6-13-7、6-13-11)。

課税・非課税が分かれる附随費用

社宅運用に伴う費用の中には、消費税が課税されるものと非課税のものが混在する。

費用項目消費税の扱い備考
家賃(本体)非課税消費税法別表第二第13号
敷金・礼金(返還されない部分)非課税家賃と同様の扱い
更新料(家賃の一部としての性格のもの)非課税
更新事務手数料(不動産会社・管理会社への手数料)課税契約更新手続きという役務提供の対価
駐車場代(建物利用と別契約の場合)課税施設利用の対価とされる
仲介手数料課税役務提供の対価
水道光熱費・維持保守費用課税

駐車場については、住宅と一体の契約になっており家賃と別建てで請求されていない場合は非課税として扱われる一方、独立した契約・請求となっている場合は課税取引となる点に注意が必要である。

個別対応方式を採用している場合の留意点

課税売上高が多い法人が消費税の仕入税額控除の計算で「個別対応方式」を採用している場合、課税仕入れは「課税売上対応」「非課税売上対応」「共通対応」の3つに区分する必要がある。貸主に支払う居住用家賃そのものは非課税取引であり、そもそも仕入税額控除の対象となる消費税額がない。仲介手数料や更新事務手数料等の課税仕入れについて、課税売上・非課税売上・共通のどれに対応するかを個別に判定する。

実務上の注意点として、物件の仲介手数料、駐車場代、水道光熱費、維持保守費用などの課税仕入れについて、これらを個別に従業員から回収せず家賃に含めて一括徴収している場合、これらの課税仕入れも非課税売上に対応する課税仕入れとして扱われ、仕入税額控除の対象から外れてしまう可能性がある。附随費用を家賃と別立てで管理・請求するかどうかは、消費税計算上の扱いにも影響する点を踏まえて設計したい。

Edo Partnersの実務視点:契約交渉から経理へ渡す費用表

貸主側と条件交渉をしてきたEdo Partnersの視点では、月額賃料だけでなく、礼金、返還される敷金、保証料、仲介手数料、更新料、解約時の精算条件まで同じ費用表に載せる必要がある。従業員との合意には本人負担と会社負担を明示し、経理には貸主の請求と従業員からの徴収を別の取引として引き渡す。Edo Partnersは物件・契約条件の調整に関与する立場であり、会社の家賃収入を受け取る転貸人として扱わない。各費用の消費税区分や仕訳は契約文言を税理士に示して確定する。

基本的な仕訳の考え方

  • 会社が貸主へ家賃を支払う時:「地代家賃」等の科目で計上(消費税は非課税につき仮払消費税は発生しない)
  • 従業員から賃貸料相当額を給与天引きする時:「預り金」等で処理し、地代家賃と相殺
  • 敷金支払い時:資産科目(「差入保証金」等)として計上し、費用処理はしない

具体的な勘定科目名や仕訳の設計は、使用している会計ソフトや税理士の指導方針によって異なるため、顧問税理士と事前にすり合わせておくことが望ましい。

よくある質問(Q&A)

Q1. 社宅家賃には消費税がかからないと聞きましたが、すべての費用が非課税になりますか?

いいえ。家賃本体や返還されない敷金・礼金、家賃の一部としての更新料は非課税だが、更新事務手数料や独立契約の駐車場代、仲介手数料、水道光熱費などは課税取引となる。費用項目ごとに区分して処理する必要がある。

Q2. 個人が事務所として使っている部屋を法人が借りる場合も非課税ですか?

契約が「居住用」として締結されているかどうかで判定される。国税庁の取扱いでは、賃貸借契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合に非課税となるとされており、契約書上の用途表示が実務上重要な判断材料となる。事務所使用が明らかな契約であれば課税取引となる。

Q3. 個別対応方式を採用している場合、社宅関連の課税仕入れはどう扱われますか?

居住用家賃そのものは非課税取引であり、控除対象の仮払消費税は生じない。仲介手数料など課税仕入れは、その用途と個別対応区分を確認する。附随費用を家賃と別立てで従業員から個別に回収しているかどうかによって扱いが変わり得るため、契約・請求の設計段階で税理士に確認しておくことが望ましい。

Q4. 敷金は費用として計上してよいですか?

退去時に返還される部分は資産(差入保証金等)として計上し、費用処理はしない。契約上返還されないことが明らかな部分(償却敷金等)については、その性質に応じた処理が必要になる。

参照法令・通達

  • 消費税法別表第二第13号
  • 消費税法基本通達6-13-1、6-13-7、6-13-11
  • 国税庁タックスアンサー No.6226「住宅の貸付け」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6226.htm
  • 国税庁質疑応答事例「社宅を貸与した場合の家賃の消費税の取扱い」:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/09/01.htm

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の経理処理・消費税判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては、税理士等の専門家にご相談のうえご確認ください。また、本記事の内容は執筆時点の法令・通達に基づくものであり、将来の税制改正等により内容が変更となる場合があります。

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