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CORPORATE HOUSING / 07

社宅に住み替えると住宅ローン控除はどうなるか

社宅への転居と住宅ローン控除。単身赴任、家族帯同、再入居の手続きを整理。

解説 / 借上社宅

すでに住宅ローンを組んでマイホームを取得している従業員・役員が、転勤や社宅制度の新設等をきっかけに会社の借り上げ社宅へ住み替えるケースがある。この場合に見落とされやすいのが、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用要件との関係である。

住宅ローン控除の基本要件

住宅ローン控除(租税特別措置法41条)の適用を受けるための基本要件の一つに、住宅の取得等をした日から6か月以内に居住の用に供し、かつ、その年の12月31日まで引き続き居住の用に供していることがある。つまり、控除を受けるためには、対象となる住宅に実際に住んでいることが前提となる。

したがって、自ら所有し住宅ローン控除を受けていた自宅を離れ、会社の社宅に住み替える(=自宅に居住しなくなる)と、原則としてその年以降の住宅ローン控除は受けられなくなる。

単身赴任の場合は継続可能

例外として、転勤等のやむを得ない事情により本人だけが社宅・単身寮等に移り、生計を一にする家族がそのまま自宅に住み続ける場合は、これまでどおり住宅ローン控除の適用を受けられる(国税庁タックスアンサー No.1234「転勤等の場合の住宅借入金等特別控除の適用」)。住民票の異動だけで結論は決まらず、家族との生計や居住実態などの要件を個別に確認する。

一方、家族全員で社宅に転居した場合は、控除の適用が中断する。

再適用の仕組み

家族全員で転居した後、再びその自宅に戻って居住を再開した場合には、残りの控除期間について住宅ローン控除の再適用を受けることができる。ただし、再適用には一定の手続きが必要であり、居住しなくなる前に税務署へ「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出しておくことが要件の一つとされている。事前の届出を怠ると、再適用がスムーズに認められない可能性があるため注意が必要である。

Edo Partnersの実務視点:転勤辞令と住宅選択を別々に説明する

Edo Partnersが企業内で社宅規程と従業員との条件合意を扱ってきた経験では、転勤者への社宅提供を決める際に、自宅を保有する従業員の事情を一律の家賃上限だけで処理しないことが大切である。例えば単身赴任用の住宅を手配するか、家族帯同向けを探すかで、貸主との契約期間や解約条件、本人負担の合意内容が変わる。会社は選択肢と制度上の期限・費用を説明し、住宅ローン控除の個別適用は本人と税理士・税務署が確認する。特定の住宅ローン控除案件をEdo Partnersが税務判断したという意味ではない。

社宅制度設計との関係で押さえておきたい点

  • 社宅制度への切り替え(記事2参照)を打診する従業員の中に、住宅ローン控除を受けている自宅所有者が含まれる場合、社宅化によって控除が失われる可能性があることを事前に説明しておくことが望ましい
  • 単身赴任(家族は自宅に残る)という選択肢を取れば控除を維持できる旨も、選択肢として伝えられるとよい
  • 家族全員で社宅に移る場合は、届出書の提出等、控除の再適用に向けた手続きを案内しておくと、後日のトラブルを防げる

よくある質問(Q&A)

Q1. 単身赴任で家族が自宅に残る場合、住民票を移すと控除は受けられませんか?

住民票の所在地だけでは判定できない。生計を一にする家族の居住実態や転勤の事情などを国税庁 No.1234 に照らして確認する。

Q2. 家族全員で社宅に引っ越した場合、控除は永久に受けられなくなりますか?

そうではない。居住しなくなった年以降は控除が停止するが、再びその自宅に戻り居住を再開した場合には、残存の控除期間について再適用を受けられる。ただし、居住しなくなる前の届出等、一定の手続き要件を満たす必要がある。

Q3. 届出を忘れて社宅に転居してしまいました。再適用は諦めるべきですか?

事前届出が原則的な要件とされているため、まずは所轄税務署に個別に相談することを推奨する。事情によって取り扱いが分かれ得るため、自己判断で諦める前に確認したほうがよい。

Q4. 会社が住宅ローン控除の喪失分を手当として補填することはできますか?

制度上の制約はなく、企業の判断で補填手当を設計すること自体は可能である。ただし、そうした手当は原則として給与所得として課税対象になる点に留意し、社宅規程や賃金規程に明記した上で運用する必要がある。

参照法令

  • 租税特別措置法41条(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)
  • 国税庁タックスアンサー No.1234「転勤等の場合の住宅借入金等特別控除の適用」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1234.htm

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の住宅ローン控除の適用可否を保証するものではありません。実際の適用にあたっては、税理士等の専門家または所轄税務署にご相談のうえご確認ください。また、本記事の内容は執筆時点の法令に基づくものであり、将来の税制改正等により内容が変更となる場合があります。